顔の印象を劇的に左右するアイシャドウは、
メイクの中でも最も『キャラクターをデザインする』力が強いパートです。
骨格に影を落とし、光を操ることで、なりたい人物像はもちろん、
妖怪や宇宙人といった非日常的なビジュアルさえも作ることができます。
ですが実際にシャドウを入れてみると「何か違う」とか「馴染んでいない・・」
といった仕上がりになる方も多いのではないでしょうか?
この記事ではそんな重要パートであるアイシャドウを綺麗にカッコよく入れられるコツを
詳しく解説したいと思います。

EBARA
別の記事で、ナチュラルなシャドウを入れる際に大切にするポイントを
まとめてあります。そちらも合わせて読んで頂くと
より理解しやすいかと思います
そもそもアイシャドウとは?
漠然とした見出しで恐縮なのですが、そもそもアイシャドウは何であるのかを正しく知る必要があります。
結論から言うと、アイシャドウを入れるとは目の陰影を強調して美しく見せる作業です。
アイシャドウはまぶたに色をのせるだけの作業ではなく、影を作る技術です。
アイシャドーとは eye(目) と shadow(陰)の組み合わさった言葉です。
当たり前です(笑)、当たり前なのですが実はやはりここが重要で
目の陰を強調して、目元の存在感をアップさせるというのが本来の目的です。
美しいアイシャドウを描ける人は、人間の骨格を正しく掴んでいるということになります。
ですのでこの記事では、目の骨格をイラストで確認しながら
正しいシャドウとハイライトの位置を解説したいと思います。
ですがそんなに難しい事でもありません。多少慣れが必要ですが
基本的には目のくぼんだ部分がシャドーを乗せる場所です。
そして逆もまた然り、目の出っ張った部分がハイライトになります。

EBARA
実際にイラストで確認してみましょう。
目まわりの陰影
まずは影の部分、シャドーから見ていきましょう。
綺麗な目を演出するにあたり、必要な知識は次の二つです
- 適切なシャドーの位置(骨格)を理解する。
- シャドウの『芯』をつかむ
適切なシャドーの位置(骨格)を理解する。
シャドウの正しい位置を理解することで、骨格に沿った自然な目を演出できるようになります。
前の記事でも触れましたが人間の目は違和感に非常に敏感です。
本来明るいはずの場所(ハイライト)に暗い色が乗っているとそれを「違和感」として無意識に感じます。
その結果目の形が不自然に見えたりアイシャドウが
フェイスペイントのように独立してしまい馴染まなかったりします。
アイシャドーが苦手、もしくはうまくいかないと言う方はこのことが原因であることが多いと思います。
シャドウの『芯』を掴む
シャドウの『芯』については別記事でも解説しましたが、影が一番濃くなる部分です。
言い換えれば一番窪んだ部分とも言えますね。
アイシャドウを入れる時、ここがスタートポイントになります。
一番濃くなる部分から徐々に周りに広げることで、骨格に沿った自然な陰影を作りやすくなります。
これからシャドー部分を3つの部位に分けて解説しますので
各パートでのシャドウの位置と、芯の場所を確認しながら読み進めて下さい。
アイシャドウの3パート


EBARA
上のイラストは何ものせていないすっぴんの目です。
こちらのベースに、それぞれの陰影を入れていきます。
赤色で示した部分がシャドウの中心である『芯』です。
紫色で示した部分がそこから広がるグラデーションの範囲です。
まつげの生え際
目の陰影では一番暗い影の部分になります。
この部分はみなさん無意識に使っていて、アイライナーや暗めのシャドーでこの部分を暗く締めますよね。
それによって目が大きく綺麗に見えるのは適切な位置に適切な濃さの影が入っているからと言えます。


そして紫の範囲までがグラデーションで広げることの出来る範囲です。



EBARA
実際にシャドーにすると、このような感じになります。


目尻側が少し広がっているイメージですね。
目尻はシャドーの幅が広がって、そのままアイホールに繋がる箇所になります。
では次のシャドーパートのアイホールを見てみましょう。
アイホールのシャドー(ダブルライン、カットクリース)
このパートは範囲も広いので使い方で目全体の存在感を大幅に上げる事が出来ます。
シャドーの基本は「出っ張るところはハイライト、くぼんだ箇所はシャドー」です。
指で触ってみると良く分かると思いますが
まぶた(眼球)の膨らみを囲むようにあるくぼんだ部分を中心に乗せるシャドウです。
メイク好きな方は「カットクリース」や「ダブルライン」でもお馴染みの箇所ですよね。


こちらのグラデーションの範囲は以下になります。



EBARA
わかりやすく少し強めに入れるとこのようなシャドーになります。


このシャドーの目頭の部分が次のノーズシャドーに繋がるラインとなります。
ノーズシャドー
眉頭から鼻に繋がるシャドーです。ここに影を入れると鼻筋が通り
鼻を高く見せる事が出来ます。
また目周りの骨格も深く見せる事で顔全体を引き締める効果があります。

そしてこちらも、グラデーションの範囲は・・・


EBARA
顔に入る、唯一の縦ラインですね


EBARA
鼻筋の縦ラインは入りすぎるとドラマチックになりすぎるので
普段のメイクではそっと付け加える程度で大丈夫です。
この3っつのパートの『芯』の部分を意識して
目まわりのハイライト
次は、顔の印象をパッと明るくする「ハイライト」のポイントを見ていきましょう。
ハイライトは「目の出っ張った箇所」 まぶた、眉尻の下、目頭です。
まぶたのハイライト
まぶたは目のハイライトの主役ですね。
わかりやすいく簡単で、効果も大きいので普段のメイクにすぐに実践できますね。


明るいベージュのシャドウやコンシーラーでトーンアップさせると
自然で上品な立体感が生まれます。
もっと華やかさが欲しい時は、パールやラメといった光を反射するアイテムが最高に相性抜群です
瞬きするたびにキラッと光を捉える質感をプラスするだけで、目元の主役感がぐっと引き立ちます。
「色」だけでなく「質感」もハイライトの楽しみの一つですね。

EBARA
目を華やかに飾ってくれる重要パーツです。
目頭のハイライト
意外と見落とせないのが、こちらの目頭にある小さな突起部分です。
骨格的にいうと顔の中でかなり前に出ているパーツなので
光を置いたときの「ハイライト効果」が一番強く出ます。
パーティーなど華やかなシーンなら、ラメを乗せるだけで一気に目元が映えますし
ナチュラルメイクの時にほんのすこしパール系のアイテムを忍ばせると
明るく、キラキラした透明感のある目を演出できたりと
どんな印象もしっかりとサポートしてくれる超便利なパートです。


EBARA
特にナチュラルメイクでここをうまく使えると
素敵な垢抜けたメイクに仕上げることができますよ!
眉下のハイライト
この部分は、普段はハイライトとして使うと言うよりは
シャドを乗せてはいけない場所として覚えておくと良いと思います。

現場でも意外とあるあるなのですが
シャドーで説明したようなアイホールのシャドーでハリウッド女優風なメイクを作る時に
グラデーションに集中するあまりシャドーを広げすぎてこの部分にまでシャドーがのってしまい
何だか締まりの無い目になってしまった・・・といった事があります。
- NG

一見悪くないけれども、シャドウがぼわっと広がっていて
なんとなく目の印象がぼやけて見える。- OK

ハイライトをしっかり残す事で、自然な陰影が
目のメリハリをしっかりと補強してくれる。
もちろん、パールやラメを使ってハイライトとして使用する事もできます。
とくに舞台やランウェイなど、遠くから見ることを前提としたメイクでは
この部分のハイライトが顔の骨格のメリハリを補強してくれるのでとても効果的です。
全てのパーツを組み合わせたら
上記3つのシャドーを全部重ねるとこのようになります。


全体像はこのような感じです。
『芯』の部分(赤色)はここでは見づらくなるので省いていますが
頭の中でこの図に重ね合わせてみて下さい。
以下に全部のせアイシャドウのバージョンも載せておきます。


全部のせると派手ですね(笑)
海外ファッション雑誌のメイクのようですがこちらが基本になります。
この骨格を掴めると、あとは足し引きで思い通りの目元が作れるようになりますよ。

EBARA
実際にこのようにフルでシャドーを入れて目周りの立体感を掴むと
ナチュラルなシャドーもより自然に入れる事が出来るようになりますよ。
ぜひ挑戦してみてください!
おまけロジック 「俺、メイク上手いな」は、モデルさんの骨格のおかげな件
最近の現場では、アジア系からヨーロッパ系、黒人の方まで、
本当にグローバルなモデルさんとお会いする機会が増えました。
そんな中、アイシャドウを塗っていて「やっぱり一番描きやすいな」と感じるのは
一番見慣れていて、メイクをする頻度も最も高い日本人のような気がしますが
実はヨーロッパ系のモデルさんだったりします。(言葉の壁は頑張らないとですが!)
理由はとってもシンプル。西洋の方の顔立ちは「骨格の凹凸」がとにかくハッキリしているから。
どこに影(シャドー)を入れて、どこに光(ハイライト)を置けばいいかが一目瞭然なんです。
ガイドラインに沿って色を乗せるだけで、目を見張るほど綺麗に仕上がる。
そもそもシャドーやハイライトをあまり意識しなくても勝手にそう出来上がります。
もう「俺ってメイクめちゃくちゃ上手いんじゃ…?」なんて
8割モデルさんのおかげなのを忘れて、自己満足に浸っちゃうほどです(笑)
もともと、今のメイク理論はヨーロッパが発祥の地
言ってみれば「フラットなアジア人の骨格を、いかに西洋的な立体感に近づけるか」という技術でもあります。
日本の伝統文芸である浮世絵や水墨画、能楽や歌舞伎のメイクを見てみると
立体感を徹底的に排除した芸術です。
その独自の世界観が逆に海外で大きなインスピレーションの源となったわけですが・・・
だからこそ、立体感を操る現代メイクに我々日本人が難しさを感じるのは
当然のことなのかもしれません。
でも最近の韓流メイクなどは、アジアのメイクの源流を再発見したような
原点回帰のイメージがあって面白いですよね。
しかしながら基本の「シャドーとハイライトの位置」をマスターしておくことはすごく大事です。
骨格を理解していると、アイライン一本引くにしても
「どこを太くして、どこを抜くか」というメリハリの付け所が見えてくるからです。
「今日はいつもと違う自分になりたいな」という時は
そんな骨格の凹凸を少し意識してみるだけで、メイクがもっと新鮮に、楽しくなると思います。
